「見方」を変えると、世界が変わる
日常生活の中で、私たちはさまざまな出来事に直面します。
上司に注意された、人前で緊張してしまった、予定が狂ってしまった。
そんなとき、つい「私はダメだ」「なんでこんな目に遭うんだ」と落ち込んでしまうことはありませんか?
でも、ちょっと待ってください。
同じ出来事でも、「意味づけ」次第で感情は大きく変わるのです。
この「意味づけ」を意識的に変える方法、それが「リフレーミング」です。
リフレーミングは、心理学の世界だけでなく、自己啓発やコミュニケーションの分野でも注目されている方法です。
特に繊細で傷つきやすい方、自分に厳しい方にとっては、日常を生きやすくするためのヒントがたくさん詰まっています。
リフレーミングとは何か、どのように実践するのか、そしてそれが私たちの心にどんな変化をもたらすのかを、日常の例や心理学的視点を交えながら解説していきます。
リフレーミングとは?
リフレーミング(reframing)は、直訳すると「枠組みを変える」こと。
つまり、物事の「見方」や「とらえ方」のフレームを変えることによって、そこから得られる感情や行動の選択肢も変えていく、という心理スキルです。
たとえば、あなたが「ミスをした」としましょう。
そのとき、
- 「私はなんてダメなんだ」と思うと、自己否定が強まり不安が増します。
- 「ミスを通して学んだ」ととらえると、次に進むエネルギーになります。
出来事自体は同じでも「どう見るか」で受け止め方が変わる。
これがリフレーミングの基本です。
NLP(神経言語プログラミング)でもリフレーミングは重要なスキルの一つとして扱われており、「問題」だと感じていたことが、視点を変えるだけで「可能性」や「学び」に変わることもあります。
この考え方は過去の出来事だけでなく、今まさに起こっている状況にも応用可能です。
たとえば「仕事が忙しすぎてつらい」と感じているときも、
「成長のチャンス」「信頼されている証拠」ととらえ直せば、エネルギーの流れが変わります。
リフレーミングは魔法ではありませんが、確実に私たちの内側にある心の感じ方に変化を起こします。
リフレーミングの仕組み──脳と感情のつながり
人間の脳は、常に「意味づけ」をしながら情報を処理しています。
たとえば、次のような流れがあります。
出来事 → 解釈(意味づけ) → 感情 → 行動
つまり、感情は「出来事」ではなく、「意味づけ」によって生まれているということ。
「雨が降っている」という出来事を、ある人は「最悪、濡れる」と感じ、別の人は「植物や作物が潤うし、空気もきれいになる」と思うかもしれません。
同じ出来事でも感情が違うのは、意味づけが違うからです。
これは、脳の「扁桃体(へんとうたい)」や「前頭前野」といった部位が深く関係しています。
扁桃体は感情を司る部分で、意味づけがネガティブであればあるほど、脳内のストレス反応が強くなります。
逆に、前向きな意味づけをすることで、扁桃体の反応が緩やかになり、ストレスホルモンの分泌も減ると言われています。
リフレーミングは脳の働きを活かした、心の整理術とも言えるのです。
日常でよくあるネガティブ思考とそのリフレーム例
以下は、よくあるネガティブな捉え方と、それをリフレーミングした例です。
ネガティブな思考 | リフレーミングした見方 |
---|---|
失敗して恥をかいた | 人に笑ってもらえた=印象に残った |
頼まれた仕事が多すぎる | 信頼されている証拠 |
緊張してうまく話せない | 真剣だからこそ気持ちが出ている |
すぐ落ち込む | 感受性が豊かで繊細である |
優柔不断 | 慎重で思慮深い |
たとえば、私自身はかつて「すぐに落ち込んでしまう自分」に悩んでいました。
些細なことでも心が揺れてしまい、「こんなことで落ち込むなんて弱いんじゃないか」と自分を責める日々が続いていたのです。
しかしある日、信頼している方から
「それはあなたが感受性豊かだからこそ、物事を丁寧に感じ取れているんですよ」
と言われ、視界がパッと開けた感覚がありました。
「落ち込みやすい」自分を「繊細で深く感じ取れる力のある自分」と見直すことで、その性質を無理に変えようとするのではなく、大切に扱えるようになったのです。
それ以来、自分の弱さだと思っていた部分がむしろ他人にはない「個性」や「長所」として活かせると感じるようになり、人との関わり方も変わっていきました。
このように、誰かの言葉がリフレーミングのきっかけになることもあります。
大切なのは「自分の中のフレーム(枠)」に気づき、それを柔軟に変えられる力を養うことです。
リフレーミングを使うときのコツ
リフレーミングは便利なスキルですが、やみくもにやってもうまくいきません。
実践する際にいくつかのコツがあります。
1つ目は「感情を否定しない」こと。
リフレーミングはポジティブ思考とは少し違います。
ネガティブな感情をただ無理にポジティブに変えるのではなく、「一度ちゃんと感じた上で、別の視点もあるよね」と柔らかく見直す姿勢が大切です。
たとえば「失恋してつらい」という気持ちに対して、「もっといい人がいるよ」と言っても心がついてこないことがあります。
そんなときは、「それだけ本気で好きだったんだね」とまず共感し、
「この経験が次の恋愛の糧になるかも」とリフレームすると、自然と心に入りやすくなります。
また、自分だけでリフレーミングが難しいと感じるときは、信頼できる友人やカウンセラーに相談するのも効果的です。
自分とは異なる視点を持つ他者の言葉が、驚くほど深い気づきを与えてくれることもあります。
さらに、書き出してみるのも有効です。
起きた出来事とそれに対する自分の解釈を書き出し、
「他の見方があるとしたら?」と問いかけてみると、意外な視点に出会えるかもしれません。
間違ったリフレーミングに注意
リフレーミングは万能ではありません。
使い方を間違えると、逆に自分を苦しめてしまうこともあります。
よくあるのが「我慢を正当化する」リフレーミングです。
たとえば、職場で明らかにパワハラを受けているのに「これは私の成長のチャンスだ」と受け止め続けてしまうと、本来離れるべき状況にとどまり、心や体を壊してしまうこともあります。
また、「本音を押し殺す」ような形でのリフレーミングも要注意です。
「本当はイヤだけど、これも人のためだし……」と無理に納得しようとすると、後でストレスが爆発するリスクがあります。
リフレーミングの基本は「自分を守ること」でもあります。
見方を変えることで、自分をより良い方向に導くための手段であって、自分を犠牲にするための道具ではありません。
「これ、本当に自分のためのリフレーミングかな?」と、時々立ち止まって問い直すことも大切です。
リフレーミングは「癒し」と「変化」のツール
リフレーミングの力は、「癒し」と「変化」の両方にあります。
過去のつらい記憶に、新しい意味を与えることで、心が少しずつほどけていく。
これは「癒し」の側面です。
同時に、今までの自分の考え方や行動パターンを見直すことで、「もっと楽な生き方」や「自分らしい選択」ができるようになる。
これが「変化」の側面です。
たとえば、「私は愛されなかった子どもだった」と思っていた過去に、「親も不器用だったけれど、一生懸命だったのかもしれない」と意味づけが変わるだけで、心の痛みが和らぎ、生きやすくなることもあります。
リフレーミングは、自分自身に優しくなれる手段でもあります。
だからこそ、完璧にできなくてもいいのです。
少しずつ「別の見方がある」という感覚を育てていくだけで、心は変わっていきます。
見方が変われば、生き方が変わる
私たちの毎日は、思った以上に「意味づけ」でできています。
だからこそ、その意味づけを変える力を持つリフレーミングは人生を変える力を秘めているのです。
苦しさの中にいるときほど、世界が狭く見えてしまいがちです。
しかし、ほんの少し角度を変えて見てみると意外な光が差し込むことがあります。
誰にでもできる、でもとても深い、それがリフレーミングです。
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