「向いてる仕事」がわからないあなたへ 〜自己理解から始まる適職探し〜

「自分に向いている仕事って何だろう？」
「そもそも、やりたいことがない…」

SNSでは「好きを仕事に！」という言葉が飛び交い、YouTubeでは成功した人がキラキラした日常を発信している。
しかし、現実はというと、日々の仕事に追われながら
「本当にこれでいいのかな」と心のどこかでモヤモヤしていることが多いものです。

仕事とは人生の大部分を占めるものです。
だからこそ、
「何を選ぶか」は私たちの幸福度にも大きく関わってくるのです。

やりたいことがないのは、社会的な仕組みや教育、そして思い込みが影響していることがあります。

やりたい仕事が見つからないのはなぜか？

実際に、進路選択や転職活動の場面で「どれもピンとこない」と感じることは、ごく自然なことです。

その背景には、いくつかの要因が考えられます。

● 経験値不足

やりたいことというのは、頭の中だけで考えていても見つかるものではありません。
実際には、
「やってみたら意外と面白かった」
「向いていないと思っていたけど得意だった」
というように、体験を通して気づいていくものです。

しかし、学生時代から進路が限られ、社会に出ても仕事の選択肢が狭く、同じ環境の中で過ごすことが多くなると、自分の好みや適性を発見する“素材”がそもそも足りなくなります。

体験という引き出しが少なければ、自分の“好き”や“やりたい”にもなかなか出会えません。

● 正解を探すクセ

もうひとつの原因は、「何が正解か」を探しすぎてしまうことです。

学校教育や社会の中では、常に「正解」が求められます。
テストには答えがあり、仕事にはマニュアルがあり、進路にも“安定”という名の幻想がありますよね。
その結果、自分の感覚よりも外側の評価を基準にしてしまうクセが染みついてしまっているのです。

「この仕事は儲かるのか？」
「世間的にカッコいいか？」
「人にどう思われるか？」

そんな視点で物事を判断していると、本当の自分の“やりたい”は、どんどん見えにくくなってしまいます。

やりたいことを見つけるには、正解探しから抜け出し、「何に心が動いたか」という内側の反応を大切にすることが不可欠です。

お金に対する思い込み

「好きなことを仕事にしても食べていけない」
「お金を稼ぐには我慢が必要」
こうした言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか？

このようなお金に対する思い込みは、私たちの職業選択に大きな影響を与えます。

● 「好き」＝「お金にならない」？

実際には、好きなことを仕事にしている人の中にも、しっかり稼いでいる人は存在します。

たとえば、イラスト、写真、ゲーム、料理など。
それらを活かして独立し、安定収入を得ている人も多いです。

では、何が違うのでしょうか？

答えは「価値提供」にあります。

ただ好きなことをするのではなく、それを「誰かの役に立つ形」で提供することで、対価としてお金が入るのです。

● 「お金＝我慢の対価」ではない

昭和〜平成の時代には、「会社に尽くせば安定が手に入る」という時代がありました。

その記憶が世代を超えて残っているため、「お金は我慢の報酬」という誤ったイメージが染みついています。

しかし、令和の時代は違います。

情報発信やフリーランス、オンラインビジネスなど、我慢ではなく自分の強みを活かして稼ぐという選択肢が増えています。

お金に対する思い込みを見直すことが、あなたの可能性を広げる第一歩になります。

他人の期待に応えなくていい

「親に勧められたから」
「世間体を考えて」
「安定しているから」

そうして選んだ仕事が、あなたの心を蝕んでいないでしょうか？

● 「良い子」であることの代償

家庭や学校で
「ちゃんとしなさい」
「期待に応えなさい」
と育てられてきた人ほど、他人の価値観に自分を合わせてしまう傾向があります。

しかし、それは長期的に見れば“自分を裏切る行為”です。

たとえば、親に安心してもらうために公務員になった人が、日々の業務で強いストレスを抱え、心身を壊してしまう…
そんな話は決して珍しくありません。

● 「あなたはどうしたいのか？」を問い直す

他人の期待ではなく、あなた自身の「本音」に耳を傾けてみましょう。

・やりたくないことは何か？
・どんな人と一緒に働きたいか？
・どんな働き方が快適か？
・何をしていると時間を忘れるか？

そうした問いを繰り返すことで、「他人の人生」ではなく「自分の人生」を取り戻していけるのです。

やりたいことを見つけるために「逆算」と「棚卸し」

やりたいことを見つける方法は、「足し算」ではなく「引き算」から始めるのが有効です。

ステップ①：やりたくないことを書き出す

まずは、
「絶対にやりたくないこと」
「過去に苦痛だった仕事」
「避けたい人間関係」
などを紙に書き出してみましょう。

・単純作業がつらかった
・裁量がなかった
・長時間残業
・感情労働がストレスだった

こうした「地雷」を明確にしておくことで、逆に自分に合った仕事が見えてきます。

ステップ②：「好き・得意」を言語化する

次に、以下のような質問を使って「好きなこと」「得意なこと」を言語化していきます。

• どんな話題を語っているときが楽しい？
• 気がついたら何を調べている？
• 人からよく褒められることは？
• どんな作業なら時間を忘れられる？

これらの回答から、自分の「資質」や「強み」が見えてきます。

ステップ③：「理想の働き方」を描く

・どんな場所で働きたい？
・一人で？チームで？
・在宅？出社？
・時間の自由は大事？安定性？

これらを明確にすることで、「職種選び」だけでなく「働き方の選択」が可能になります。

可能性を広げるための業界一覧【ざっくりジャンル紹介】

「自分の強みがわかってきたけど、どんな業界があるの？」と疑問に思う人のために、主な業界ジャンルをざっくり紹介します。

【クリエイティブ系】

• デザイン（グラフィック、Web）
• 写真、映像編集
• イラスト、アート
• コピーライター、編集者

→感性・表現力を活かしたい人におすすめ

【IT系】

• プログラマー
• システムエンジニア
• Webエンジニア
• データサイエンティスト
• AIエンジニア

→論理的思考が得意、新しい技術を学び続けたい人におすすめ

【専門知識・分析系】

• コンサルタント
• リサーチャー、アナリスト
• マーケティング職
• 経営企画、人事戦略

→論理的思考や計画性が強みの人向け

【製造業】

• 自動車
• 電子機器
• 食品
• 精密機器
• 化学

→黙々と取り組む、集中力・丁寧さを活かしたい人におすすめ

【小売業】

• スーパー
• コンビニ
• アパレル
• 雑貨
• 家電量販店

→接客が得意、商品提案や売り場づくりにやりがいを感じる人におすすめ

【サービス業】

• 飲食
• ホテル
• 教育
• ブライダル

→人と関わることが好き、ホスピタリティを活かしたい人におすすめ

【医療・福祉】

• 医師
• 看護師
• 薬剤師
• 理学療法士・作業療法士
• 介護士

→人の役に立ちたい、人との関わりにやりがいを感じる人におすすめ

【手に職系】

• 建築士、大工、電気工事
• 美容師、理容師、ネイリスト
• 調理師、パティシエ

→技術を身につけることに喜びを感じる人向け

【インフラ・公的業務】

• 公務員
• 交通（鉄道、航空）
• ライフライン（電気・水道・ガス）

→安定志向・堅実な仕事を求める人におすすめ

産業別規模別企業数ー中小企業庁

「自分の人生」を選び直す

人生は一度きりです。

誰かの期待や世間の目に縛られ続けるのではなく、
「自分はどう生きたいのか？」を問い直すことが、適職への第一歩です。

やりたいことがすぐに見つからなくても、少しずつ自分の内側を掘り下げていくことで、確かな方向性が見えてきます。